【AI時代の救世主】Googleが賭ける「核融合」とは?未来のエネルギー革命と日本の関連銘柄

当ページのリンクには広告が含まれています。
Googleが賭ける「核融合」とは?未来のエネルギー革命

2025年7月1日、テクノロジー業界とエネルギー業界を揺るがす歴史的なニュースが発表されました。米Googleが、マサチューセッツ工科大学(MIT)発の核融合スタートアップ「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)」から、未来のクリーンエネルギーである核融合発電による電力を購入する契約を締結したのです。

これは単なる電力契約ではありません。AIの爆発的な進化がもたらす「電力危機」という巨大な課題に対し、Googleが「核融合」という究極の解決策に本気で賭けたことを意味します。この記事では、このニュースの背景にあるAIと電力の関係から、核融合発電の驚くべき仕組み、そしてこのエネルギー革命に参加する日本の注目企業まで、どこよりも詳しく、分かりやすく解説していきます。

この記事のポイントまとめ

  • GoogleはAIの電力需要増に対応し核融合電力を購入。
  • 核融合は脱炭素と安定供給を両立する「夢のエネルギー」。
  • 実用化は2030年代目標だが、技術・コストに課題は残る。
  • 日本企業も技術開発や出資で重要な役割を担っている。

注目の核融合関連銘柄

  • フジクラ (5803): CFSへ核融合炉の心臓部となる超電導線材を供給。
  • 浜松ホトニクス (6965): レーザー核融合技術で世界をリードする存在。
  • 京都フュージョニアリング (非上場): 「オールジャパン」体制で核融合に挑む中核企業。
  • 日揮ホールディングス (1963): 京都フュージョニアリングへの出資で参画。
  • 三菱商事 (8058): 日本の核融合技術を支える主要出資者の一つ。
  • 古河電気工業 (5801): 超電導技術で核融合開発に貢献する電線大手。
スポンサーリンク
目次

ニュースをわかりやすく深堀りして解説

google

結論:核融合エネルギーは「夢物語」から「ビジネス」への転換点だ

今回のGoogleとCFSの契約が持つ最も重要な意味は、核融合エネルギーが、遠い未来の夢物語から、具体的な商業化を目指す「ビジネス」のフェーズに移行したことを世界に示した点にあります。

出典https://www.qst.go.jp/site/jt60/4937.html

これまで核融合は、巨額の国家予算を投じる壮大な科学プロジェクトという側面が強く、実用化は2050年以降とも言われてきました。しかし、AIという巨大な需要の出現と、CFSのような民間スタートアップの技術革新が、そのタイムラインを劇的に前倒しさせたのです。Googleという世界的な巨大企業が、まだ存在しない発電所からの電力購入に踏み切ったという事実は、技術的な実現性に対する強い信任投票に他なりません。

もちろん、投入したエネルギー以上のエネルギーを生み出し、それを安定的に商業ベースで供給するには、まだ解決すべき物理学・工学上の高いハードルが存在します。しかし、この契約は世界中の投資家や企業に対し、「未来のエネルギー市場の覇権争いは、すでに始まっている」という強烈なメッセージを送ったのです。

なぜ今、Googleが核融合に? AIがもたらす「電力クライシス」

Googleが核融合という次世代エネルギーに巨額の投資を約束した背景には、避けては通れない深刻な問題があります。それは、AIの普及に伴う爆発的な電力消費量の増加です。

生成AIなどを動かすデータセンターは「電気の大食い」として知られ、その電力消費量はすさまじい勢いで増加しています。このままでは、電力供給がAIの進化のボトルネックになりかねないという危機感が、Googleのような巨大テック企業を動かしているのです。

Googleは2030年までに事業をすべて脱炭素エネルギーで賄うという高い目標を掲げていますが、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは天候に左右され、24時間365日稼働するデータセンターの電力を安定的に供給するには限界があります。そこで、CO2を排出せず、天候にも左右されない安定した「ベースロード電源」として、SMR(小型モジュール原子炉)と並び、究極のクリーンエネルギーである核融合発電に白羽の矢が立ったのです。

契約相手「CFS」とは何者か? MIT発の最強ベンチャー

今回Googleがパートナーに選んだコモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)は、2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のプラズマ科学・核融合センターからスピンオフした、今最も注目されている核融合スタートアップです。

Commonwealth Fusion Systems

CFSの強みは、「高温超伝導(HTS)」と呼ばれる画期的な磁石技術にあります。核融合炉は、太陽の中心部よりも高温のプラズマ(原子核と電子がバラバラになった状態)を強力な磁場で閉じ込める必要があります。CFSが開発したHTS磁石は、従来のものよりはるかに強力な磁場を、より少ない電力で発生させることができます。

これにより、国際プロジェクト「ITER」のような巨大な施設でなくとも、より小型で低コストな核融合炉(トカマク型)の建設が可能になると期待されています。

CFSの計画

  • SPARC(実証炉): 現在マサチューセッツ州で建設中。投入したエネルギーを上回るエネルギーを発生させること(ネットエネルギーゲイン)を世界で初めて実証する計画。2026年までの完成を目指しています。
  • ARC(商用炉): SPARCの成功を受け、バージニア州に建設予定の世界初の商用核融合発電所。総発電容量400MWを計画し、このうち200MWをGoogleが購入します。2030年代前半の運転開始が目標です。

この革新的な技術と具体的な商業化へのロードマップが評価され、CFSはGoogleのほか、ビル・ゲイツ氏などからも多額の資金を調達しており、その総額は20億ドル(約2900億円)を超えています。

ライバルMicrosoftも動く!巨大テックのエネルギー覇権争い

Googleの動きは単独のものではありません。ライバルであるMicrosoftも、2023年に別の核融合スタートアップ「ヘリオン・エナジー」と電力購入契約を結んでいます。ヘリオンは2028年という、さらに野心的な目標を掲げており、巨大テック企業間で次世代エネルギー源の確保を巡る競争がすでに始まっていることがわかります。これは、未来のAI覇権が、コンピューティングパワーだけでなく、それを支えるクリーンで安定したエネルギーをいかに確保できるかにかかっていることを示唆しています。

関連銘柄はこれだ!日本の「核融合ドリーム」を担う企業たち

Googleの発表は、遠い米国の話ではありません。日本の多くの企業も、世界最先端の技術でこの「核融合ドリーム」に深く関わっています。日本政府も2023年に「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定し、産学官連携で開発を後押しする姿勢を明確にしています。ここでは、注目の関連銘柄をテーマ別に紹介します。

【本命】CFSと直接タッグを組む企業

フジクラ (5803)

CFSの核融合炉の心臓部とも言える高温超電導線材を供給しているのがフジクラです。CFSの小型・高性能な核融合炉を実現する上で不可欠なキーパーツを製造しており、今回のGoogleとの契約で最も直接的な恩恵を受ける可能性のある日本企業と言えるでしょう。株価もこの材料に反応し、堅調な動きを見せています。

「オールジャパン」で挑む京大発ベンチャー連合

日本国内では、京都大学発のスタートアップ「京都フュージョニアリング」が核融合炉に必要な周辺機器開発で世界をリードしています。同社には、日本の名だたる企業が出資し、「オールジャパン」体制を構築しています。

  • INPEX (1605)
  • 日揮ホールディングス (1963)
  • 三井物産 (8031)
  • 三菱商事 (8058)
  • 関西電力 (9503)
  • 電源開発 (9513)

これらの企業は、将来のエネルギー供給源として、またプラントエンジニアリング技術の応用先として、核融合分野に戦略的に投資しています。

もう一つの道「レーザー核融合」の雄

核融合には、磁場でプラズマを閉じ込める「トカマク型」の他に、強力なレーザーを燃料に照射して核融合を起こす「レーザー方式」があります。この分野では日本が世界をリードしており、関連企業も注目されています。

浜松ホトニクス (6965)

光技術の世界的企業。高出力レーザーの開発で核融合研究に不可欠な存在です。大阪大学発のレーザー核融合ベンチャー「EX-Fusion」とも技術提携しています。

神島化学工業 (4026)

レーザーの発振媒体となる特殊なセラミックスを開発しており、レーザー核融合のキーマテリアルを担う企業として注目されています。

国際プロジェクト「ITER」を支える縁の下の力持ち

フランスで建設が進む国際熱核融合実験炉「ITER」計画にも、多くの日本企業が参画し、技術力を提供しています。

  • 三菱電機 (6503): ITER計画に主要コンポーネントを供給するなど、長年の実績があります。
  • 東洋炭素 (5310): 核融合炉内の過酷な環境に耐える特殊な炭素材料などを提供しています。
  • 古河電気工業 (5801): 超電導コイル技術などでITER計画に貢献しています。

主要関連銘柄 一覧 (2025年7月1日終値時点)

スクロールできます
コード銘柄名市場株価 (円)前日比 (円)事業概要
5803フジクラ東P7,880+309CFSへ高温超電導線材を供給
6965浜松ホトニクス東P1,727-29レーザー核融合向け技術を開発
1963日揮HD東P1,231.5-18.0京都フュージョニアリングに出資
5801古河電工東P7,298+265ITER計画や英ベンチャーに技術提供
6503三菱電機東P3,142.0+31.0ITER計画に主要機器を供給
5310東洋炭素東P4,835-60核融合炉向け特殊炭素材料
1605INPEX東P1,999.0-26.0京都フュージョニアリングに出資

※株価情報は2025年7月1日時点のものです。

最近のニュース&材料

株式市場の動向:期待と過熱感の交錯

Googleの発表があった2025年6月30日、米国株式市場はS&P500が最高値を更新するなど好調でした。これは中東情勢の緊張緩和や貿易交渉への期待感が背景にあります。しかし、翌7月1日の東京株式市場では、日経平均株価が6営業日ぶりに反落し、4万円の大台を割り込みました。これは、直近5日間で2000円以上上昇したことによる短期的な過熱感からの利益確定売りや、期初の売りが出たためとみられています。

核融合関連というテーマは、非常に長期的で壮大なストーリーを持つ一方で、足元の株式市場は短期的な材料で変動します。今回のニュースは核融合関連銘柄にとって強力な追い風ですが、市場全体の地合いに左右される点には注意が必要です。

AIからエネルギーへ、広がる投資テーマ

これまでAI関連の投資といえば、NVIDIAのような半導体メーカーが中心でした。しかし、AIの進化が新たな段階に入るにつれ、その周辺領域へと投資家の注目は広がっています。

  • 半導体: AIチップの需要は依然として旺盛。
  • データセンター: 建設、不動産(REIT)、そしてそれを冷やす冷却システム。
  • 電力: 膨大な電力を供給するための発電所、送電網。
  • 次世代エネルギー: そして今回注目されたSMR(小型モジュール炉)や核融合発電。

このように、AIという巨大な技術革新が、エネルギーという社会インフラの根幹にまで影響を及ぼし、新たな投資テーマを生み出しているのです。

よくある質問(FAQ)

核融合発電って、原子力発電と何が違うの?安全性は?

全く異なります。現在の原子力発電は、ウランなどの重い原子核が「核分裂」するエネルギーを利用します。一方、核融合発電は、海水中に豊富にある重水素などの軽い原子核を「核融合」させるエネルギーを利用します。安全性については、核融合の方が原理的に高いとされています。核融合反応は、超高温・超高圧という特殊な環境を維持しないとすぐに止まってしまいます。そのため、万が一装置が破損しても暴走する危険性が極めて低いです。また、高レベル放射性廃棄物を原理的に発生させないという大きなメリットもあります。

Googleの契約はなぜそんなに重要なんですか?

これは、世界で初めて結ばれた商業ベースでの核融合電力の直接購入契約だからです。これまで研究開発の対象だった核融合が、初めて具体的な価格と供給量を持つ「商品」として扱われた瞬間であり、商業化に向けた大きな一歩と言えます。これにより、他の企業や投資家が核融合分野に参入しやすくなり、開発競争が一気に加速する可能性があります。

本当に2030年代に実用化できるの?課題は?

2030年代前半の実用化は、CFSなどが掲げる野心的な目標です。実現にはまだ複数の大きな課題があります。エネルギーゲイン(投入したエネルギーよりも大きなエネルギーを、安定して長時間取り出し続ける技術の確立)、材料開発(1億度を超えるプラズマや中性子線に耐えられる材料の開発)、コスト(建設コストや発電コストを、他の電源と競争できるレベルまで引き下げること)。これらの課題を乗り越えられるかが、実用化の鍵となります。

日本の核融合技術は世界でどのくらい進んでいるの?

日本は核融合研究の分野で世界トップクラスの技術力を持っています。国際プロジェクト「ITER」では主要な機器の製作を担当し、重要な役割を担っています。また、CFSが採用するトカマク型や、浜松ホトニクスなどが得意とするレーザー型、さらにはヘリカル型など、多様な方式で研究開発が進められており、幅広い技術的蓄積があります。京都フュージョニアリングのような有力なスタートアップも生まれており、今後の展開が期待されます。

今から核融合関連株に投資するのはアリ?注意点は?

核融合は、AIや脱炭素といった巨大なトレンドに乗る、非常に夢のある投資テーマです。実用化されれば、関連企業の価値は計り知れないものになる可能性があります。しかし、実用化までにはまだ10年以上の時間と、上述したような技術的ハードルがあることを理解しておく必要があります。株価は期待先行で上昇することもありますが、開発の遅れなどのニュースで大きく下落するリスクも伴います。長期的な視点で、企業の技術力や将来性をしっかりと見極めた上で、ポートフォリオの一部として投資を検討するのが良いでしょう。

CFS(コモンウェルス・フュージョン・システムズ)は上場していますか?

2025年7月現在、CFSは非上場企業です。そのため、直接株式を購入することはできません。CFSに投資したい場合は、同社に出資している上場企業や、キーとなる技術・部材を提供しているフジクラ(5803)のような企業に投資することが間接的な方法となります。

Google以外にも核融合に投資している大手企業はありますか?

はい、多数あります。前述のMicrosoftはヘリオン・エナジーと契約しています。また、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏はGeneral Fusionに、OpenAIのサム・アルトマン氏はヘリオンに個人として投資しています。石油メジャーのシェブロンやエクソンモービルも、TAE Technologiesなどの核融合ベンチャーに出資しており、業界を問わず未来のエネルギー源として大きな注目を集めていることがわかります。

Googleが賭ける「核融合」とは?未来のエネルギー革命

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次